痛快な面白さ!日本企業の未来への危機感と鋭い洞察

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新書『「AIクソ上司」の脅威 2030年、日本企業の序列がひっくり返る(PHPビジネス新書)』

著者:鈴木貴博
出版社:PHP研究所
発売日:2023/12/16

【おススメ読書案内】

タイトルが目を引くこの新書は、一見すると未来の日本企業での働き方の話かのように思われますが、内容は予想外の方向へと進みます。

この本の特徴、面白さは、物語のような筆致にあります。約10年前に提唱されたAIによる職業の消滅という学説を転換させ、実際にはホワイトカラー職が減少するという展開を描いています。その文体は痛快な感じすらします。

さらに、この物語は、普通の上司が生成AIを使ってスーパー上司に変貌する様子を生々しく描き、テクノロジーが職場での人間関係や職務遂行にどのように影響を及ぼすかを探っています。タイトル同様、衝撃的な表現が読者に新たな視点と興味深い読書体験を提供しています。

イーロン・マスク氏のテスラ社についてのくだりもあり、その斬新な企業戦略と電気自動車(EV)の未来についての考察は目から鱗です。テスラ車を通じて見る最新のデジタル革新(DX)戦略は、単に製品を「作って売る」だけの従来の製造業の考え方とは一線を画しています。テスラは自動車業界における革新的なアプローチを採用し、車両販売からソフトウェアのアップデート、電気自動車用の充電網の構築に至るまで、幅広いビジネスモデルを展開しています。

著者は、ダイナミックな語り口で調査やデータに基づく膨大な情報を丁寧に解析し、未来のシナリオを描いています。過去に世界各地で起きた機械への人間の恐怖と労働者の反対運動という歴史的な事象とも繋がり、EVで出遅れている日本自動車業界の未来や、AIスピーカーを駆逐するポケモンのニャースなどのユニークなストーリーも展開されています。

月並みなコメント申し訳けありませんが、ホントに面白いです。

事実やデータ洞察への語りが、恐ろしく感じられる表現もあります。「クソ上司」や「ブルシットジョブ」といった労働者にとっては痛烈な表現が目立ちます。これらが思考を刺激してくれます。しかも、膨大な情報量としっかりしたロジックで構築されており、読み手に新たな視点をもたらしてくれるのです。

本書は、未来を異なる「フレーム」で捉え、生き抜くための道を模索するヒントを得ることができるでしょう。最後に、私管理人が印象に残った見出しを引用して、この読書のまとめとさせていただきます。

「AIは人類を支配しないが、「新たな支配層」を生み出す
 本書 P.66より

こわ。クソ上司側になりたいわけではないけれど、AIが何か、見極めないといけません。

※生成AIによるイラスト/本書内容とは無関係です