3人のプロが答える画像生成AIと著作権についての数々の疑問

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単行本:「画像生成AIと著作権について知っておきたい50の質問」


著者:ニャタBE, 花井 裕也(株式会社アブストラクトエンジン) , 谷 直樹
発行日:2023/11/29

【おススメ読書感想文】


昔、ちびっ子の私は絵を描くのが大好きでした。中学生の頃、1か月だけ美術部に入ったこともありますが、別の部活に入り直しました。高校3年のとき、美大に行きたくて絵画教室に通いましたが、先生に「小さい頃からの才能がないとダメ」と言われ、夢を諦めました。

そんな私の絵心を満たしてくれる時代が来ました。それが画像生成AIの登場です。技術や才能がなくても、プロ並みの表現が瞬時に作り出せます。ただし、人の心を動かす絵やデザインを創るのは、やはり人間。画像生成AIはクリエイターが使うツールなのです。

急速に普及している画像生成AIに対して、法や倫理に関する多くの議論が巻き起こっています。本書は、クリエイターを取り巻く画像生成AIのイラストにおける権利、倫理、技術について詳細に解説しています。

著作権法やディープラーニングの知識、イラスト制作の技術や業界の事情など、本書のテーマ「生成AI画像の著作権」について幅広い知見とともに、複数の視点から問題提起を行います。そして、それぞれの視点から、「それってOKなの?違法なの?」といった素朴な疑問に対して矢継ぎ早に回答していくのです。その回答がとてもわかりやすい。

画像生成AIは技術ですが、権利や倫理の問題なくしては、社会に受け入れられません。各方面のプロの皆さんが、しっかりと整理して教えてくれます。

このような方におすすめ

  • イラストレーター: 画像生成AIの影響や法的リスクについて学びたい方。
  • 画像生成サービス利用者(AI絵師、AI術師): 商用利用の可能性とその課題を理解したい方。
  • 生成AIの開発者: 技術的視点と法的課題のバランスを学びたい方。
  • その他のクリエイター: 写真家、ライター、作曲家など、画像生成AIを仕事に利用しようと考えている社会人の方。

本書には、画像生成AIに対して否定的な立場や指摘のテーマもありますが、下書きの仕事量を時短してくれたり、思いつかなかったアイデアを量産してブレスト相手になってくれたりと、合理的に画像生成AI利用を取り入れているクリエイターさんもいます。プロがこういった発想で画像生成AIを使い始めたら、それこそ「虎に翼」ですね。

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わずか1年ほど前は、Midjourney、Stable Diffusion、DALL·Eを「画像生成AI御三家」と呼んでいましたが、今では音声や動画生成など、マルチモーダルで多様な生成AIサービスが発表されています。

私のコラムも、ChatGPTやDALL·Eなどの生成AIがなくてはならない存在になっていますが、DALL·Eを使っていて気づいたことがあります。それは、日本やアジアに関する表現が苦手なことです。

例えば、DALL·Eで「平和な日本の街並みを横800、縦450のサイズでイラスト表現してください」と入れたプロンプトで生成された画像はこれです。

「平和な日本の街並みを横800、縦450のサイズでイラスト表現してください」

このように、日本や日本人の表現を求めると、瓦屋根の家々や着物服姿など、少し前の映画やテレビのステレオタイプな日本が出てきてしまいます。

こうした現象の理由は、欧米の知識や画像を多く学んでいるDALL·Eには、日本に関する事前学習をしていないということです。

多くの日本製の画像生成AIがリリースされるようになれば、こういった状況も改善されるかもしれません。そして法律の整備も進んでいることでしょう。
未来の画像生成AIに期待したいと思います。

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生成AIで作成したイメージです/本書内容とは無関係です